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教授挨拶

Professor’s message

福島県立医大整形外科学講座は、1951年(昭和26年)4月に開講しました。1953年(昭和28)1月に佐藤孝三先生が整形外科学講座初代教授に任命され、1954年(昭和29)12月から第2代土屋弘吉教授、1960年(昭和35)11月から第3代鈴木良平教授、1971年(昭和46)5月から第4代松本淳教授、1990年(平成2年)10月から第5代菊地臣一教授が、そして、2008年(平成20年)11月より私が第6代目の教授を担当させていただいております。本教室は、2011年の東日本大震災後、一時、同門会員数が減少しました。幸いこの数年来は、増加に転じ、現在の同門会員数は228名に達しています。現在の教室員数は、86名です。大学には27名在籍しています。菊地臣一先生は1991年よりスエーデンのヨーテボリ大学整形外科(Bjorn Rydevik教授)へ、1995年からはカリフォルニア大学サンディエゴ校麻酔科(Robert Myers教授)へ教室員を留学させ、腰部神経根障害に関する共同研究を行なってまいりました。2011年からはチューリッヒ工科大学バイオメカニクス研究所(Stephen Ferguson教授、Karin Wuertz先生)と新たに共同研究を行ってきました。当科は専門クリニックとして、脊椎、骨軟部腫瘍、股関節、膝関節、小児整形外科、肩関節、手の外科・再建外科、足の外科、リウマチ、スポーツ、麻痺を有しています。2019年の手術件数は928例で毎年増加しています。臨床研究にも力を注いでいます。2008年から京都大学臨床疫学の福原俊一教授と共同で「南会津・只見運動器コホート研究」(LOHAS)を行なってきました。LOHASとはLocomotive syndrome and health outcome in Aizu cohort studyの略で、南会津・只見町のご協力の下に住民検診時に運動器検診を同時に行い、運動器に関する様々なテーマを設定して継続して調査を行うコホート研究です。その成果は国際学会等で報告し、論文化されています。
2014年から3年間、厚生労働科学研究費補助金慢性の痛み対策研究事業として、「慢性疼痛の多面的評価システムの開発と客観的評価方の確立に対する研究」を多施設共同で行いました。本研究により、QOLを基準とした難治性疼痛を規定する痛みの重症度評価ツール、脊椎疾患による神経障害性疼痛をスクリーニングするSpine Pain Detect、そして慢性疼痛患者の社会的因子を測定、評価するためのプロファイル型評価スケールなどを開発しました。
2019年には日本整形外科学会基礎学術集会(横浜)と国際腰椎学会(京都)を当教室が主催させていただきました。今後とも皆様方のご指導、ご支援を賜りますようよろしくお願い申し上げ、私の挨拶とさせていただきます。

福島県立医科大学医学部整形外科学講座
 教授 紺野慎一